tasicana memo

演劇・映画の感想・その他情報のまとめなど

劇団☆新感線 プロデューサースペシャルトークショー 『新舞台芸術と映像の可能性について』メモ その2

こちらの続きです。

【中】音声に関しても頑張ったと聞いていますが
【金】キャストにはそれぞれピンマイク、バンドの音も個別に拾えるようにして全部で60チャンネルほどになっている。マイクでは拾えない、足音や衣擦れの音は映画でそうするのと同じように、映像化の段階で音を加えている。

中井さんからの「それをハリウッドでやったんですよね!」というフリに続き、ジパングパンクを素材にしたハリウッドのスタジオスタッフの映像が流れました。

【中】なぜハリウッドだったんですか
【金】ポジティブに言うと「やってみたかったから」。ネガディブな要素としては、いのうえさんの作る作品がどんどんハリウッドライクになってきたので、日本で作業する意味がなくなってきた。例えば日本だと衣裳をばさーってやる時にこういう音を入れたい、と言っても「そんな音しないだろ」って言われてしまうところを、向こうのスタッフは「こういうのもあるけど」と提案をくれたりする。実際に作品を手掛けたディレクターはとても優秀なんですが、やはり国内には年功序列的なところがあって、表に出てこれない、とかそういう事情もあったり…
【中】ハリウッドで作るとやっぱり仕上がりは違うんですか
【金】全然違いますね。格段に違う。向こうのスタッフの刺激を受けて、こっちのスタッフも引きずられるようにアイディアが出てきたりする。

【中】細川さんは本公演とゲキシネを見比べてみていかがですか
【細】舞台とは別物、という認識ではいるけど、やはり日本では環境的な事情で、映像化されても家で大音量では観られないですよね。それを映画館で体感できるのはいい。

 

【中】キャストの方は「今日は撮影日だ!」と意識されたりするんでしょうか
【細】中にはナーバスになる人もいる。それは無理もなくて、二階席の後ろの人にも届くように組み立ててる演技を、映像用に間近で撮影されるんだから演技プランが崩れてしまう、という理屈もわかる。
あとは同一日2公演で撮影するので、昼噛んだ台詞は夜公演では噛めない!とか…よく「(どちらも間違えてしまって)アフレコとかないんですか」「ないよ!」というやり取りをしたりする。
【金】キャストにはピンマイクがついているので袖での台詞じゃない声も入るんですが、古田さんが「ちっ噛んじゃった…やる気なくなった」って言ったのを拾ったりして…それ入ってるんですけどー!て思ったりする(笑)

 

【中】DVDでは副音声が収録されてますよね
【金】あれもうやりたくないんですよねーやりたい放題過ぎて(笑)テレビなら放送事故だろってくらい沈黙が続いてるところとか、大体NGで切ってるところですから。
【細】公演が3時間とかになると、話すことなくなるんだよね。

 

【中】なぜ劇団☆新感線がここまで人気になったと思われますか
【細】シンプルに言うと、面白い!と支持してくれる人が増えたおかげ。個人的に劇団の動員数については昔から「東京3万人・大阪1万人限界説」を唱えていて、演劇ブームの頃の夢の遊民社、第三舞台もそのあたりでひとつの限界を迎えたと思っている。
新感線では、純粋な劇団公演ではないけど2002年の『天保十二年のシェイクスピア』で、それを超えられるかもという手ごたえを感じ、その延長線上にあったのが『吉原御免状』。客演俳優によるスターシステムが成功のポイントだった。ただ、それも「根っこに演劇を持った人」に限る。堤真一上川隆也堺雅人天海祐希…単に有名人が出れば動員数が伸びる訳では絶対にない。
【中】劇団員に魅力的な人が育ってきているせいもありますよね
【細】高田聖子さん、粟根まことさん、橋本じゅんさんなどのいのうえイズムを体現する劇団員の存在は大きい。また、古田は外部の俳優から信頼がとても厚く、劇団のスポークスマン的存在になっていて、「この人がやっているなら信頼できる」という理由で人を呼べる存在。いのうえさん自身が演技もやる人だし、役者の前で全部自分がやって見せる演出方法だというのも信頼される要因でしょうね。

 

【中】差し障りなければ…今(客演を)狙っている人は?
【細】それ相当差し障りあるなー(笑)
【中】このへん、とかだけでも…たとえば歌舞伎界はどうですか!市川染五郎さんとやられた時も「こんなに格好いいんだ!」って驚いたので!あとは初舞台の方とか…初は厳しいか??
【細】初めてだから(だめ)ってこともないんだけど、いのうえ次第かな。 

【中】どういう人を狙っていってるんですか
【細】あのね!『蛮幽鬼』の時なんかは「よく堺くんなんて押さえられたね~どんな手使ってるの~」とか言われたけど、2年半前から動いてるからね!その当時はゴールデンスランバーで主演するなんて思いもよらないからね!新感線じゃないけど『サイケデリック・ペイン』の時も「よく綾野剛くんを…」て言われたけど、企画書見せて回った時は誰も知らなかったくらいだし、それくらい前からオファーしてる訳!それを先見の明、とか言う人もいるけど、「運」です「運」!(笑)

(…と、突然大興奮する細川さんに客席が大ウケ。売れた後から押さえにいってるんじゃなくて、独自の嗅覚でリサーチ&一種の賭けをしていると主張したかった様子)

 

【中】だって、出演したいという俳優さん達はいっぱいいて、その中で「この人はいる/いらない」というジャッジをする訳じゃないですか。それはどういった観点から?
【細】強いて言うなら「2年半後の新感線の公演に乗せて、輝いてくれるか」という感じ。ちなみに3回客演で出ると準劇団員扱いになります(笑)天海祐希松雪泰子堤真一生田斗真森田剛は準劇団員だそうで、勝地涼は回数は満たしてるけど認められていないそうです…笑)
あとはその時かけようとしている作品に、マッチングする役があるかないか。ジパングパンクでの村井(國夫)さん、麿(赤兒)さんなんかはまさにそれ。北大路(欣也)さん、平幹二郎さんも、ダメ元で打診してみたらOKを頂いて。
【中】そんな名だたる大御所達が出演してくれる理由ってなんだと思います?
【細】それは古田の繋がりもひとつだし、過去の作品の映像がたくさんあるので、どんなものかイメージしやすい、というのもあると思う。
【中】逆に断られたという大御所はいたりするんですか
【細】うーん…いない…と思います

 

第二弾はここまで!おそらく次で質疑応答まで含め、すべて終わる予定です。

劇団☆新感線 プロデューサースペシャルトークショー 『新舞台芸術と映像の可能性について』メモ その1

昨日、文化学園大学の学園祭で行われたトークショーに参加してきました。登壇者はエグゼクティブプロデューサーの細川展裕さん、ゲキ×シネ映像版プロデューサーの金沢尚信さん、司会進行は演劇好きで知られる中井美穂さん。新感線ファンには嬉しい、密度の濃い一時間でした! 

まずは中井さんがおひとりで登場。「新感線の舞台を生で観たことある方?ゲキシネを観たことがある方?」と会場に質問したところ、大体7割くらいが舞台観劇済み、ゲキシネはもう少し多い感じだったよう。そして新感線の紹介映像を流した後に細川さん・金沢さんが登壇。劇団の概要を中井さんが簡単に説明しながら軽くお二方と絡んだり。

劇団名が「発足当時の劇団員が、実家に帰省する時に新幹線を利用していた」ことに由来しているのはファンの間では周知の事実だと思うのですが、開演直前のベルが実際に新大阪駅の新幹線ホームで勝手に録音してきたものだ、というエピソードは初めて知りました!

 

ここから先はメモをもとにしたトークの要約ですが、すごーーーーく長くなりそうなので分割で投稿します。

中井さん(以下【中】):細川さんは一体何をしてる人ですか
細川EP(以下【細】):一般的に言うと「枠組み作り」。公演の時期や劇場、キャスト、どんなストーリーにするか(主に主宰・演出のいのうえひでのりさんと)相談して決定した後は、初日の打ち上げで乾杯の音頭を取ったり司会進行したり、千秋楽の打ち上げで司会進行したり…(笑)
(ちなみに制作チームは全部で6~7名体制とのこと。勝手のわかっている精鋭なので枠組みを決めた後は安心して任せており、渡した後は暇なんです…と仰ってました)

 

【中】公演の仕込みはいつ頃から行うものなんでしょう
【細】理想は2年半~3年くらい先行して進める感じ。例えば『ジパングパンク』は公演の3年半前に東急文化村から「今度渋谷に新しく劇場を開くので(シアターオーブのことですね)何か一緒にできないか」という話を受けた。その頃はちょうど『薔薇とサムライ』が終わって頃で2011年に『髑髏城の七人』 を上演することが決まっていたので、音モノのRシリーズ(シリーズ説明はこちらを参照がいいかなあ…という話を下北沢の焼き鳥屋でした。普段から色々な現場で情報収集して(細川さんはパトロールと言っているとのこと)、(客演で)誰が出たがってるとか拾っておくのが大事だと思ってます。

 

【中】客演は豪華な顔ぶれですが、そのあたりはどうやって進めてるんですか
【細】特にマニュアルがある訳ではないので、その時の流れです。ジパングパンクなら、地球ゴージャスの公演に出てた三浦春馬くんが良かったね、とかいう話をした流れだったり。最初この人と想定して進めてても、1年半前に「やっぱないな~」ってなることもある。
最近では稽古に2ヶ月・公演2ヶ月必要になっており、劇団外の俳優さんに4ヶ月公演のために空けてください、となると調整も大変。(ドラマの仕事は3ヶ月1クールで動くので、2クール諦めてもらうことになるためだそう)
仕込みの期間が長いので、他の劇団と比較するとオファーは早いと思っている。2年半は大河ドラマよりも早い。でも一番早いのは蜷川(幸雄)さん。もう自分が生きてる間は全部押さえてるんじゃないかっていうくらい(笑)

【中】やはりキャスティングに関しては大変なんですね
【細】客演だと相手側の問題もあるので…たとえば三浦春馬くんだと、オファーした当時は事務所から「舞台(地球ゴージャス客演)出演が初めてなので、それが終わって本人のモチベーションがどうかを確認してから返答したい」という返事だった。女優さんは結婚も絡んだりするのでどうしても流動的要素はありますね。
俳優の怪我が起きてしまったり、という場合も大変だけど…急遽代役を探す時などは不思議と呼び込むものがある。当たってみた俳優がたまたまスケジュール空いてるよ、とかね。


話題は変わって、ここからは金沢P(以下【金】)が会話に加わり「ゲキ×シネ」パートに。まずはゲキシネ紹介映像が流れます。『蜉蝣峠』が中心だったかな?テキストで原田眞人監督のコメントが入って個人的にテンションが上がった私…)映像後、中井さんが「すごいじゃないですか!」と話を振ったところ、細川さんが間髪入れずに「(『メタルマクベス』の)松たか子ちゃんすごいね!」と返したため、客席から笑いが漏れる一幕も。

 

【金】(ゲキシネが生まれた背景は)当時はVHSからDVDへの移行期だったんですが、勿論ファン向けに作られているので公演を観た人しか買っていかないという状況でした。もっと新感線の魅力が広まってほしいという思いから、どうすればいいのか考えたところ「演劇の魅力であるライブ感、目の前で俳優が演じているという醍醐味を劇場と同じように体感するには、映画館での上映がぴったり」という結論にたどり着いた。

それまでも演劇の映像化はなくはなかったけど「(カメラが遠くて)ちっさ!」という構成が通例だった。観客の視点誘導に長けた、いのうえさんの演出がついた新感線なら、映画のような映像化に耐えられるという思いもあった。

【中】ゲキシネの企画を聞いて、細川さんはどう思われました?
【細】いいんじゃない、と思いました。というのも、自分は舞台とは全く別物だと考えているし、「上映」である以上はゲキシネは映画であって、その被写体が新感線作品の出演者であると考えているから。それに東京・大阪以外の地方、海外に広めるためのツールにもなるし、実際今もその役割を果たしている。

 

【中】2004年の『アカドクロ』『アオドクロ』から始まり、次回の『蒼の乱』まで入れると13作品になりますが、カメラを複数台入れての撮影を伴う負担もあるでしょうし、機材のために席もつぶれますよね?どう詰めていったんですか
【金】最初は完全に手さぐり。舞台の撮影に関してはある程度既存のキットみたいなものがあったけど、10年前のデジタルカメラでは照度ひとつとっても撮影が厳しかった。撮影機材の発展と、ノウハウの蓄積ですね。
(『ジパングパンク』では機材を撮影前日の昼公演で調整し、撮影は同一日昼夜2公演&カメラ20台前後、スタッフは80~90名を要したとのこと)
プリプロダクションとして脚本・稽古の段階から入念に打合せを行う。昔は監督がファイナルカットプロとかでやっていた編集作業も、今では映画編集に携わる人間が加わったりしている。演出家がどこを見せたいか、という意向を汲むことも大切。

 

【中】確かに舞台は自分の好きなところやキャストを見られるのが魅力のひとつでもあるので、映像にすると視点が強制的に演出意図に沿うことになりますよね
【金】最初はそれが理由でファンの方に怒られたりしたこともあった。でも話の本筋に焦点を合わせることが優先されるべきだと思うので、ご容赦頂きたいです…

 中井さんが「新感線はまた端で面白いことしてる人がいますもんね、あれをなぜ切る!って気持ち、わかる気がする」と応え「橋本じゅんさんとか橋本じゅんさんとかね…」と合わせる細川さん。みんな大好き看板役者・古田新太は、後ろ向いてる時は変な顔したりしているそうです。

【金】いのうえさんが映像の編集に立ち会って、じゅんさんが余計なことしている部分を「ここいらない」って言ったりすることもありますね。そもそもゲキシネだけで完結するものではないと思っているので、ぜひそこを入口に公演を観に来て頂きたいです。

 

さすがに長いので、続きはメモその2にて。これでメモの半分いってないくらいですが、あまり日を空けずに投稿したいと思います。

森山未來がアトムに!『プルートゥ PLUTO』

ヒストリーボーイズ観劇前に書いてから、また時間が空いてしまった…とても面白かったので感想書きたいのですが、ひとまず最近沸き立ったこれ。 

漫画『PLUTO』舞台化、森山未來と永作博美がアトム&ウラン役、演出はシェルカウイ - stageニュース : CINRA.NET

文化庁の平成25年度文化交流使として留学していた(まだ滞在中かな?)森山未來が、帰国後初舞台に選んだのがこちら。普段ストレートプレイの演劇ばかり観ているのでダンス界隈には全く詳しくないのですが、演出・振付を手掛けるシディ・ラルビ・シェルカウィは有名な振付家だそうで。日本では2012年2月に、同じく手塚治虫のマンガ・アニメ作品をもとにした舞台『テ ヅカ TeZukA』を上演していますね。

 

『テ ヅカ TeZukA』公演概要


Bunkamuraオーチャードホール「テ ヅカ TeZukA」リハーサル - YouTube

 前回公演は期間が短かったせいもあり未見なのですが、オーチャードホールからシアターコクーンへ会場が変わったこと、浦沢直樹の漫画を原作としていることから、よりストーリー要素が強めになるのではないかと思います。舞台の申し子・森山未來がパワーアップして帰ってきたとあれば見逃すわけにはいかない感じ…キャストも永作博美柄本明、吉見一豊、松重豊寺脇康文…と普段あまりお目にかからない組み合わせ。楽しみです!

 

鉄腕アトム「地上最大のロボット」より プルートゥ PLUTO | ラインナップ | シアターコクーン | Bunkamura

舞台『プルートゥ PLUTO』公式 (@plutostage) | Twitter

観劇直前、『ヒストリーボーイズ』PV


舞台『ヒストリーボーイズ』プロモーションPV - YouTube

世田谷パブリックシアターにて上演という、小川絵梨子演出作では大規模な舞台に分類されるのではと思われる英国の作品『ヒストリーボーイズ』。イギリスやブロードウェイでも色々な賞を受賞している名作のようですが、気づけば観劇日まであと少し。

 


舞台「ヒストリーボーイズ」コメント動画 中村倫也 - YouTube

中村倫也は映像でも舞台でも、演じる役によって別の人!?というくらい変化自在な、いい意味で癖がない俳優さんだなあと思っています。そういえば現在ドラマ「アオイホノオ」に出演中ですね。舞台慣れしてるイメージがあるけど、主演は初めてなんですね~。


舞台「ヒストリーボーイズ」コメント動画 浅野和之 - YouTube

映像作品ではバイプレイヤー的存在の浅野さん。私、舞台でのグッっと心をつかむ浅野さんの演技が大好きです…


舞台「ヒストリーボーイズ」コメント動画 松坂桃李 - YouTube

若手俳優に興味の薄い私が唯一(たぶん)追ってる、言わずと知れた売れ売れイケメン俳優松坂桃李。どことなく昭和の香りがするのがいいんだよなあ…『ヘンリー四世』『真田十勇士』に続いての観劇ですが、また全く違うタイプの作品なので、どんな演技を見せてくれるのか期待大。

小川さんの演出で若手俳優が多く出演する作品を観たことがないので、ちょっと新鮮な感じがします。ともあれ好きな演出家や劇団の作品が大きなブランクなく見続けられるって、しあわせなことだなあ…最近観劇の頻度がちょっと減っているので、本チラシを入手できていないのが心残り。当日劇場に置いてありますように。 

舞台『 HISTORY BOYS / ヒストリーボーイズ』公式ホームページ

『窓に映るエレジー』感想Togetter

キューブによるまとめを発見したのでぺたり。

ジョンソン&ジャクソン『窓に映るエレジー』感想まとめ - Togetterまとめ

『窓に映るエレジー』

窓に映るエレジー

2014/7/24-8/6 CBGKシブゲキ!! 【座席:G列10番】

作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二/ブルー&スカイ)

キャスト:大倉孝二/村岡希美/池谷のぶえ/菊池明明/川原一馬/池田成志

音楽:The Dubless(魚澄直希/原田亮) 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN)

音響:水越佳一(モックサウンド) 映像:上田大樹(&FICTION!)/フジタヨーヘー

衣裳:畑久美子 演出助手:さいとう篤史 舞台監督:Stage Doctor Co.Ltd.

宣伝美術:坂村健次  宣伝写真:宮本雅道 撮影協力:ロペライオ

プロデューサー:高橋典子 制作:佐々木 悠/川上雄一郎 

票券:北里美織子 広報宣伝:米田律子 

協力:ダックスープ/吉住モータース 製作:北牧裕幸 

企画・製作:キューブ

 

あらすじ?(引用元:CUBE Group

ジョンソン&ジャクソンは、大倉孝二とブルー&スカイによる、演劇コンビネーションです。
一回目の今回は、村岡希美池谷のぶえの盟友二人に加え、池田成志氏を迎える事に よっても拭いきれない、目新しさの無い布陣で臨む。
うるせえ!目新しさなんか知るか!さあやるぜ、毒にも薬にもならない芝居を!
見逃すな! 俺達が困るから! そうだろ!

ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ) 

 

ジョンソン&ジャクソン 『窓に映るエレジー』 PV 〔大倉孝二 ブルー&スカイ〕 - YouTube

 

突然だけど私、大倉孝二が好きで。すーーーーーーーーごく好きで。好きすぎて家族に布教してみたら実はドラマとたまに映画しか観ないような母親と妹も好きだったことが判明しまして。

もちろん真面目に語ったら演技力どうこうというのはあると思うんだけど、端的に言うと「高校の文化祭でコントとかやっちゃう系クラスのお調子者男子(モテたい)(でもビミョーにブスな後輩にしかモテない)」みたいな「男子」感がたまらないのです。(※カッコ内はイメージです。大倉さんは古田新太やら堤真一が狙ってたという舞台女優を落とした実力の持ち主です)

 

今回の公演は、以前も組んでいるブルー&スカイとのユニットによる新作ですが、新しくつけたというユニット名は「ジョンソン&ジャクソン」。そして全く意味のなさそうなPV。噴き出る「男子力」にニヤニヤしながら公演を心待ちにしていました。

個人的にはブルー&スカイ脚本は、昨年8月の親族代表の公演『第三次性徴期』以来。正直観劇前は「ナンセンスコメディって何ぞや?」だったんですが、冒頭からいきなり繰り出されたしょうもないやり取りに力ない笑い(いい意味で)が漏れました。出演作をよく観る村岡希美池谷のぶえ池田成志のお三方が出演されているのも楽しみの大部分を占めていたのですが、期待に違わぬ熱演で大満足。特にのぶえさんの犬役のインパクトが凄まじくて、これはネットで絶賛される訳だなあ…と忍び笑い。

 一応「行き過ぎた倹約生活の末、高層タワーマンション購入という念願の夢を叶えたデパート勤めのある女。その展望への異常なこだわりには実は理由があって…」という芯となる話の筋はあるものの、基本はまるでショートコントが数珠つなぎになったかのような…かと思えば、バラバラに見えたキャラクター達のバックグラウンドが、糸が寄り集まって縄になるかのような収束を見せる……のかと思いきや、最後にその縄をブツンと切られたみたいな幕切れにハッとした後ぼんやり。コメディを観に来たつもりが消えない煙に巻かれたような心持ちで劇場を後にしました。ベテラン舞台役者達の全力、恐るべし。

「ロンサム・ウェスト」

ロンサム・ウェスト

2014/5/3-6/1 新国立劇場 小劇場THE PIT

作:マーティン・マクドナー

翻訳・演出:小川絵梨子

出演:堤真一/瑛太/木下あかり/北村有起哉

美術:二村周作  照明:小川幾雄  音響:加藤温  衣装:伊賀大介

ヘアメイク:宮内宏明  舞台監督:瀬崎将孝

プロデューサー:北村明子

企画・製作:シス・カンパニー

 

あらすじ(引用元:公演パンフレット)

アイルランド西部の片田舎リーナン。 コールマンとヴァレンのコナー兄弟は父親の葬儀を終えたばかりだというのに、相変わらずくだらないことで罵り合いを始め、父の死を悼む気配などまったくない。兄弟にまともな倫理観を持たせようとするウェルシュ神父の奮闘は完全に空回りで、神父はおのれの無力さに酒に溺れるようになっている。そんな彼らのどん詰まりの生活に一陣の風を吹き込むのは、17歳のしっかり者ガーリーンだ。

 この村ではほかに肉親殺しの噂も飛び交い、兄弟が幼いころからよく知る警官は自殺し、あたかもカミに見放されたかのようである。すべてに絶望したウェルシュはある決意を秘めた手紙をガーリーンに託す。そこに書かれたウェルシュの思いは、兄弟の心を揺さぶるのだろうかーーー。

小川絵梨子という演出家を知ったのはつい最近で、昨年末から年初にかけて上演されていた堤真一と千葉哲也の二人芝居『TOPDOG/UNDERDOG』でした。おそらく私が初めて追いかけはじめた「超人タイプでない演出家」。(超人タイプ=いのうえひでのりとか、野田秀樹とか、ケラリーノ・サンドロヴィッチとか…戯曲書いて劇団持ってコレぞ○○演出!みたいな舞台ガンガンやってる感じ。あと演出一本だけど蜷川幸雄御大とかも超人タイプですね)もちろん演劇界では新進気鋭の演出家として有名で、演劇賞も多数受賞されている方なので、ディープな演劇ファンからすれば何をいまさら、って感じでしょうけど。

私が最近観た小川さんの演出作は『TOPDOG〜』に続き『帰郷-The Homecoming-』然り『クリプトグラム』然り「何かしら問題を抱えている家族の話」が多いのですが、とにかくその血縁者ならではの微妙な湿度というか、イヤ〜な感情とか他人同士ではありえない距離感をリアルに描くのがとても巧い演出家だなあと思っています。(確か『クリプトグラム』のポストトークで母親との関係が自分から見ると必ずしも良好ではなかった、みたいな話をしていたのが印象的で、その辺も影響しているのかな?と思ったり)

 

と、前置きが長くなりましたが、今回の『ロンサム・ウェスト』も再び「荒んだ兄弟もの」。そしてこんなに小川さんと再度早く組んでくれるとは思っていなかった堤真一と瑛太が主演ということで、公演概要が発表された時はかなり興奮したものです。 自分勝手で嘘つきでいい加減な兄(堤真一)、キレやすくてコドモな弟(瑛太)が荒んだ生活を送る”ロンサム・ウェスト”。タイトルの通り殺伐とした環境で行き場のない感情を互いにぶつけ合って暮らしているふたりのやり取りは、上演前に聞きかじっていたあらすじから想像していたものよりはかなりコミカルで、観客の反応も喜劇寄りだったのが意外でした。とは言えコレは笑えない…と絶句するようなネタもあったりするんですが。身内の喧嘩って他人同士のそれに比べて、取り返しのつかないレベルで傷を抉るもの、逆に何もなかったかのように流すのも容易だったりするのでその辺の関係がうまく表現できていたってことなのかなあ…『TOPDOG〜』の時も同じように思った記憶があります。

個人的には、ともすれば単なるドタバタ劇にもなりかねない空気を絶妙なバランスで引き戻す、ウェルシュ神父を演じた北村さんの演技が印象的でした。舞台経験豊富な堤さんとがっぷり組んでも引けを取らない瑛太にも感心。『ガラスの動物園』もよかったもんなあ…

基本的に兄弟の家(+α)でのやり取りになるので、セットを隅々まで観察する事ができたのですが、ひとつも揃いの物がない家具、わずかに残る母親の痕跡?といった要素も気になりました。あとは自分にちょっとキリスト教の素養があればさらに楽しめたかも。吹きだまりのような片田舎で逃げ場もなくそこに留まり、顔を突き合わせて暮らして行くしかない兄弟の不幸と未来を覗き見するような、そんな舞台でした。結末は後味悪くはなかったけど…きっとあの兄弟は変わらないんだろうなあ。 

 

余談。千秋楽には堤さん、北村さんと親交の深い演出家のデヴィット・ルヴォーが観に来ていて、開演前に気づいた私は密かに興奮していたんですが、カーテンコールでそれに気づいた舞台上のおふたりも大興奮。何だかこちらまでほっこりさせられました。(そしてその興奮のまま、数日後に開演となった『昔の日々』を観に日劇まで行ってしまった私…前々から演劇人の話に時々出て来るルヴォー演出に興味があったので…)