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劇団☆新感線 プロデューサースペシャルトークショー 『新舞台芸術と映像の可能性について』メモ その1

昨日、文化学園大学の学園祭で行われたトークショーに参加してきました。登壇者はエグゼクティブプロデューサーの細川展裕さん、ゲキ×シネ映像版プロデューサーの金沢尚信さん、司会進行は演劇好きで知られる中井美穂さん。新感線ファンには嬉しい、密度の濃い一時間でした! 

まずは中井さんがおひとりで登場。「新感線の舞台を生で観たことある方?ゲキシネを観たことがある方?」と会場に質問したところ、大体7割くらいが舞台観劇済み、ゲキシネはもう少し多い感じだったよう。そして新感線の紹介映像を流した後に細川さん・金沢さんが登壇。劇団の概要を中井さんが簡単に説明しながら軽くお二方と絡んだり。

劇団名が「発足当時の劇団員が、実家に帰省する時に新幹線を利用していた」ことに由来しているのはファンの間では周知の事実だと思うのですが、開演直前のベルが実際に新大阪駅の新幹線ホームで勝手に録音してきたものだ、というエピソードは初めて知りました!

 

ここから先はメモをもとにしたトークの要約ですが、すごーーーーく長くなりそうなので分割で投稿します。

中井さん(以下【中】):細川さんは一体何をしてる人ですか
細川EP(以下【細】):一般的に言うと「枠組み作り」。公演の時期や劇場、キャスト、どんなストーリーにするか(主に主宰・演出のいのうえひでのりさんと)相談して決定した後は、初日の打ち上げで乾杯の音頭を取ったり司会進行したり、千秋楽の打ち上げで司会進行したり…(笑)
(ちなみに制作チームは全部で6~7名体制とのこと。勝手のわかっている精鋭なので枠組みを決めた後は安心して任せており、渡した後は暇なんです…と仰ってました)

 

【中】公演の仕込みはいつ頃から行うものなんでしょう
【細】理想は2年半~3年くらい先行して進める感じ。例えば『ジパングパンク』は公演の3年半前に東急文化村から「今度渋谷に新しく劇場を開くので(シアターオーブのことですね)何か一緒にできないか」という話を受けた。その頃はちょうど『薔薇とサムライ』が終わって頃で2011年に『髑髏城の七人』 を上演することが決まっていたので、音モノのRシリーズ(シリーズ説明はこちらを参照がいいかなあ…という話を下北沢の焼き鳥屋でした。普段から色々な現場で情報収集して(細川さんはパトロールと言っているとのこと)、(客演で)誰が出たがってるとか拾っておくのが大事だと思ってます。

 

【中】客演は豪華な顔ぶれですが、そのあたりはどうやって進めてるんですか
【細】特にマニュアルがある訳ではないので、その時の流れです。ジパングパンクなら、地球ゴージャスの公演に出てた三浦春馬くんが良かったね、とかいう話をした流れだったり。最初この人と想定して進めてても、1年半前に「やっぱないな~」ってなることもある。
最近では稽古に2ヶ月・公演2ヶ月必要になっており、劇団外の俳優さんに4ヶ月公演のために空けてください、となると調整も大変。(ドラマの仕事は3ヶ月1クールで動くので、2クール諦めてもらうことになるためだそう)
仕込みの期間が長いので、他の劇団と比較するとオファーは早いと思っている。2年半は大河ドラマよりも早い。でも一番早いのは蜷川(幸雄)さん。もう自分が生きてる間は全部押さえてるんじゃないかっていうくらい(笑)

【中】やはりキャスティングに関しては大変なんですね
【細】客演だと相手側の問題もあるので…たとえば三浦春馬くんだと、オファーした当時は事務所から「舞台(地球ゴージャス客演)出演が初めてなので、それが終わって本人のモチベーションがどうかを確認してから返答したい」という返事だった。女優さんは結婚も絡んだりするのでどうしても流動的要素はありますね。
俳優の怪我が起きてしまったり、という場合も大変だけど…急遽代役を探す時などは不思議と呼び込むものがある。当たってみた俳優がたまたまスケジュール空いてるよ、とかね。


話題は変わって、ここからは金沢P(以下【金】)が会話に加わり「ゲキ×シネ」パートに。まずはゲキシネ紹介映像が流れます。『蜉蝣峠』が中心だったかな?テキストで原田眞人監督のコメントが入って個人的にテンションが上がった私…)映像後、中井さんが「すごいじゃないですか!」と話を振ったところ、細川さんが間髪入れずに「(『メタルマクベス』の)松たか子ちゃんすごいね!」と返したため、客席から笑いが漏れる一幕も。

 

【金】(ゲキシネが生まれた背景は)当時はVHSからDVDへの移行期だったんですが、勿論ファン向けに作られているので公演を観た人しか買っていかないという状況でした。もっと新感線の魅力が広まってほしいという思いから、どうすればいいのか考えたところ「演劇の魅力であるライブ感、目の前で俳優が演じているという醍醐味を劇場と同じように体感するには、映画館での上映がぴったり」という結論にたどり着いた。

それまでも演劇の映像化はなくはなかったけど「(カメラが遠くて)ちっさ!」という構成が通例だった。観客の視点誘導に長けた、いのうえさんの演出がついた新感線なら、映画のような映像化に耐えられるという思いもあった。

【中】ゲキシネの企画を聞いて、細川さんはどう思われました?
【細】いいんじゃない、と思いました。というのも、自分は舞台とは全く別物だと考えているし、「上映」である以上はゲキシネは映画であって、その被写体が新感線作品の出演者であると考えているから。それに東京・大阪以外の地方、海外に広めるためのツールにもなるし、実際今もその役割を果たしている。

 

【中】2004年の『アカドクロ』『アオドクロ』から始まり、次回の『蒼の乱』まで入れると13作品になりますが、カメラを複数台入れての撮影を伴う負担もあるでしょうし、機材のために席もつぶれますよね?どう詰めていったんですか
【金】最初は完全に手さぐり。舞台の撮影に関してはある程度既存のキットみたいなものがあったけど、10年前のデジタルカメラでは照度ひとつとっても撮影が厳しかった。撮影機材の発展と、ノウハウの蓄積ですね。
(『ジパングパンク』では機材を撮影前日の昼公演で調整し、撮影は同一日昼夜2公演&カメラ20台前後、スタッフは80~90名を要したとのこと)
プリプロダクションとして脚本・稽古の段階から入念に打合せを行う。昔は監督がファイナルカットプロとかでやっていた編集作業も、今では映画編集に携わる人間が加わったりしている。演出家がどこを見せたいか、という意向を汲むことも大切。

 

【中】確かに舞台は自分の好きなところやキャストを見られるのが魅力のひとつでもあるので、映像にすると視点が強制的に演出意図に沿うことになりますよね
【金】最初はそれが理由でファンの方に怒られたりしたこともあった。でも話の本筋に焦点を合わせることが優先されるべきだと思うので、ご容赦頂きたいです…

 中井さんが「新感線はまた端で面白いことしてる人がいますもんね、あれをなぜ切る!って気持ち、わかる気がする」と応え「橋本じゅんさんとか橋本じゅんさんとかね…」と合わせる細川さん。みんな大好き看板役者・古田新太は、後ろ向いてる時は変な顔したりしているそうです。

【金】いのうえさんが映像の編集に立ち会って、じゅんさんが余計なことしている部分を「ここいらない」って言ったりすることもありますね。そもそもゲキシネだけで完結するものではないと思っているので、ぜひそこを入口に公演を観に来て頂きたいです。

 

さすがに長いので、続きはメモその2にて。これでメモの半分いってないくらいですが、あまり日を空けずに投稿したいと思います。